REIONレポート
 Vol.7 – Think Lab汐留

REIONの導入事例をご紹介する国内レポート第7弾は、2020年2月、東京都港区にオープンしたソロワーキングスペース「Think Lab(シンク・ラボ)汐留」。“世界で一番集中できる場所”をコンセプトとする同店の環境づくり、導入されたポケットおしぼりやREIONが果たす役割などについて、株式会社Think Lab取締役の井上一鷹さんにうかがいました。

メガネ型デバイスの研究成果をもとに
“世界で一番集中できる場所”を提供

 東京都港区、新橋駅・汐留駅から徒歩3分ほどの場所に建つ「カレッタ汐留」は、レストランや劇場のほか、大手広告代理店・電通の本社があることでも知られる汐留のランドマーク。最寄り駅から同ビルまで続く地下道には日本テレビや資生堂、コンラッド東京などが直結しており、一日を通して働く人の往来が絶えないエリアです。
 そんなカレッタ汐留のB1階に2020年2月にオープンした「Think Lab(シンク・ラボ)汐留」は、一人で深く集中するためのソロワーキングスペース。手がけているのは、アイウエアブランド「JINS(ジンズ)」を運営するジンズホールディングスのグループ会社、株式会社Think Lab。メガネ型デバイス「JINS MEME(ジンズミーム)」を用いて、人の集中を様々な観点から研究している先進企業です。
 Think Labは2017年、“世界で一番集中できる場所”“東京に高野山を”をコンセプトとするワークスペース「Think Lab 飯田橋」をジンズ本社内に開設。そこで蓄積してきた研究結果やノウハウをもとに創出された汐留店は、五感を通して集中へ導く、個人利用に特化した空間です。同社取締役の井上一鷹さんは、こうした場所の必要性について次のように教えてくれます。
「ジンズミームによる研究から、上司や同僚に話しかけられたり、電話やメールに追われたりするオフィスの自席こそが、もっとも集中できない場所だと分かりました。加えて、私たちの調査によれば、カフェを探して作業を始めるまでにかかる時間は平均10分30秒ほど。人々の働き方が多様になり、テレワークも推奨されている現在、一人で集中できる場所を確保したいというニーズは以前より高まっています」

汐留店エントランス
アイデアを出すような創造的思考に適した席

集中に必要なのは緊張とリラックス
五感刺激でスイッチング

 Think Lab汐留では、お客様がスムーズに集中できるよう、科学的根拠にもとづいた様々な工夫がなされています。
「必要なのは緊張と緩和。どちらかだけの状態で集中するのは難しいのです。Think Labでは寺社仏閣をイメージした設計と、集中を高める五感刺激の要素を随所に配置しています」
 そう井上さんが話すように、仄暗い参道のようなエントランスを通ることで適度な緊張状態へ導かれたのち、明るい店内へ入ると一気に緊張が緩和されます。
 店内は床の高さをひな壇のように3段にしつらえ、31席を配置。最上段は見上げるような姿勢でアイデアを出すための席、他の2段は下を向いた姿勢でロジカルシンキングをするための席。それぞれに適した椅子が採用され、他人の目線や動きを気にせず集中できる半個室になっています。
 また、自然音、照明、植物、カフェイン含有量の異なる数種類のコーヒーなどでも五感を刺激して集中をサポート。さらに専用アプリで予約ができるため、席を探すストレスなく作業に向かうことができます。
 そしてもう一つ、店内のどこにいても心地よく香っているのが独自開発のアロマ。集中効果が科学的に裏付けられた香りで、ディフューザーでの噴霧に加え、おしぼりにも取り入れられました。井上さん曰く、これらは集中を促すための大切な要素だそうです。
「人は情報を得る際、8割強は視覚から、1割弱が聴覚からと言われています。これは私の意見ですが、目と耳からの刺激だけではなかなか気持ちを切り替えることができません。アロマで嗅覚を、さらにおしぼりで触覚も刺激することで集中へのスイッチになりうると考えました」

REIONやコーヒーが置かれているコーナー
手を拭った後も香りが続くポケットおしぼり

オリジナルのポケットおしぼりを共同開発
触覚と嗅覚にアプローチ

 「お客様には、Think Labで過ごす時間を、豊かな時間だと感じていただきたい。そこで、空港やホテルのラウンジのような、ゆとりあるおもてなしをしたいと考えました。個人的には、熱いおしぼりとお茶がサーブされるグーグル合同会社のおもてなしに好感を持っていたので、参考にさせていただきました」
 そうしてスタートしたオリジナルおしぼり製作。Think Labのアロマの独自性と、FSXが持つノウハウを生かして試作を重ね、短期間の緊急対応で完成。このようなかたちでポケットおしぼりを製作したのはFSXにとっても今回が初の試みでした。
「オープンまで日数がない中で依頼したにもかかわらず、スピーディに進んで助かりました。抗ウイルス・抗菌の『VB(ブイビー)』(※)が施されている点も、正直ほっとしているところです。コロナ禍の現在、Think Labのサービス品質を下支えしてくれています」
 さらには、おしぼりのパッケージにもこだわり、“Deep think”をイメージしたイラストをプリント。深海に身を預けるような、リラックスした状態でゾーン(超集中状態)に入ってほしいというメッセージが込められています。また、特殊フィルムを使ったFSX独自の包装技術も嗅覚刺激をサポートできているようです。
「袋を開けるまでは香りが一切漏れないうえに、開けてから30分ほど経ってもおしぼりの香りが変化することがないので驚いています。このパッケージのおかげで、触覚と嗅覚を刺激する体験自体を、きちんとコントロールできていると思います」

※ウイルスや菌の働きを99.99%以上も抑制する特許技術『VB』についてはこちら。
https://www.virusblock.jp/

LEDライトが灯るREION庫内
ゆるりとしたタッチのイラストに心が和む、
おしぼりのパッケージ

素の自分になりたいとき
気軽に立ち寄れるサードプレイスへ

 特注のポケットおしぼりは、基本サービスとしてデスクに1枚ずつ配置してあるのに加え、受付前のカウンターに設置されたREION(Sサイズ・ブラック)でも保冷されています。
 おしぼりは常温ではニュートラルに香り、冷やしても香りが弱まることはなく、温めるといっそう引き立ちます。REIONは冷温の切り替えが1台でできることから、Think Labでは冬場の保温も検討しているそうです。
 現在、同店を利用されるお客様は主に、近辺に職場がある方や来訪される方、家で仕事をするのが難しい汐留在住の方で、一人当たりの利用時間はコロナ前の1.5倍、2〜3時間に増えているのだとか。滞在の途中でコーヒーを取りに行った際、REIONから冷えた新しいおしぼりを取り出してリフレッシュする方も多いそうです。
 汐留店のオープンから5カ月、2020年7月にはスターバックス コーヒー ジャパンとThink Labが協業した新店「スターバックス コーヒー CIRCLES銀座店」がオープンしました。同店2階の半分ほどがThink Labのワークスペースとなっており、ここでもREIONで冷やしたオリジナルアロマのおしぼりが提供されています。
 井上さんに今後について尋ねると、「コロナの状況下ではなかなか先が読みにくい」としながらも、展望を聞かせてくれました。
「誰しもいろいろな役割や肩書き背負っていて、つねにスマホが追いかけてくる現代。だからこそ、素の自分になりたい、と思うのかもしれません。素の自分、マインドフルな状態になって集中できる場所――市中の山居とでも言いましょうか。そんな空間を提供し続けたいと思っています。ビジネスでの利用に限らず、気軽に立ち寄っていただけたら嬉しいです」

株式会社Think Lab取締役・井上一鷹さん
銀座店のエントランス付近

Think Lab 汐留

東京都港区東新橋1-8-2 カレッタ汐留B1F

2020年8月取材